母が昭和二三年四月二七日に没して、来年はもう三〇年になる。
三三回忌には間があるが、この三〇年を記念して、私が今持っている母との往復書簡その他の資料をありのままに編さんして、弟妹と私の妻子に残すことを思い立った。秋晴れの昭和五二年九月四日(日曜日)のことである。多忙を極める公務の余暇にすることだから、完成がいつのことになるかは分らぬ。
ここまで書いただけで涙があふれ、この原稿を汚しそうになる。字がかすんでくる。けれども、ここでは、感傷的な追慕を書こうとは思わぬ。若干のコメントの中にそれが混じることはあるかも知れないが、資料をありのまま編さんするのが目的である。従って、明白な誤記を訂正し、あるいは補うほかは、すべて原文の(ただし、適宜改行と句読点をつけることがある。)まま書き写す。忠実に書き写すよう努力するが、若し写し違いがあったら、どうぞ許して下さい。
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