亡き母をしのんで

「亡き母をしのんで」と題して、昭和56年11月3日に亡くなった父・米田義昭が生前原稿用紙に残した文章を公開します

2 母から祖父へ(封筒なく、日付も不明)

 

皆様お変わりはない事と存じます。

お父様(編注、徳次郎)のお手紙を見まして、私もうれし涙、義昭も大よろこびでした。

途中の事も案じましたが、無事の通知に安心しました。

私は何にも云う事はありません。何事も父様におまかせします。ただ義昭が学校に通ふ事を一番楽しみにして居りますから、其れだけお骨折り下さる様くれぐれもお願ひ申します。

すなほには育ってますが、何事もぐずで、気がつきませんから、よくおしへて下さいませ。まちがった事がありましても、けっして叱らず、よく話して聞かして下さい。叱るとひねくれますし、静かに云うて聞かすと、涙を出してよく判ってくれます。此れだけが義昭の性質として父様におねがひします。私も別に度々手紙も出しません。義昭のことは何一つ心配はありません。むしろ安心して、心が落着きました。

母様(編注、まさ)光子様(編注、母の末妹で当時未婚。祖父母と同居していた。)、おねがひします。私は曽田にやったつもりにしていますから、光子様、弟と思ってえんりょなしにおしへて下さいませ。         志津子

 父上様