2 母から祖父へ(封筒なく、日付も不明)
皆様お変わりはない事と存じます。
お父様(編注、徳次郎)のお手紙を見まして、私もうれし涙、義昭も大よろこびでした。
途中の事も案じましたが、無事の通知に安心しました。
私は何にも云う事はありません。何事も父様におまかせします。ただ義昭が学校に通ふ事を一番楽しみにして居りますから、其れだけお骨折り下さる様くれぐれもお願ひ申します。
すなほには育ってますが、何事もぐずで、気がつきませんから、よくおしへて下さいませ。まちがった事がありましても、けっして叱らず、よく話して聞かして下さい。叱るとひねくれますし、静かに云うて聞かすと、涙を出してよく判ってくれます。此れだけが義昭の性質として父様におねがひします。私も別に度々手紙も出しません。義昭のことは何一つ心配はありません。むしろ安心して、心が落着きました。
母様(編注、まさ)光子様(編注、母の末妹で当時未婚。祖父母と同居していた。)、おねがひします。私は曽田にやったつもりにしていますから、光子様、弟と思ってえんりょなしにおしへて下さいませ。 志津子
父上様